となり

『悪いな。こんな時間に』と
笑顔を見せそれはいつもと
変わらない彼の笑顔だった

私は首を横に振りながら
『どうしたの？』と
私が問いかけると
彼の態度が急に変わり出す
そして彼の顔からは
笑顔が消え沈黙が襲う
私に再び不安が襲う

彼は私に背中を向け
『ずっと、話そうって思ってたんだけど、なかなか言えなくて』と
彼の言葉に私の脳裏には
彼に聞きたくて聞けなかった
¨久保高校¨の文字が浮かんだ

『俺、冬休み明けに転校することになったんだ。母さんが死んで、父さんが一緒に住まないかってずっと言ってくれてたんだけど、ずっと断ってたんだけど、ずっと夢だった陸上の推薦が転校する中学からだと有利になるって、顧問の先生が言ってくれて、それにここからより、父さんの家のから通う方が便利だし、金銭面的にも父さんに頼るしかないから。もえには早く言わないとって思ってたんだけど、急でごめん。だけど、絶対に会いにくるし、連絡もちゃんとするし、離れても気持ちは変わらないから』と
彼の言葉は私が
思い浮かべていた
言葉よりもはるかに桁違いで
私は彼に何も言い返せなかった