となり
『おいっ、つまみ食いすんなよ』と
信吾が梨沙子に言いながら
信吾は梨沙子のお尻を叩くと
梨沙子もまた信吾のお尻を叩く
私はその横で二人の様子を
可笑しそうに見ていた

『今日は、四人で楽しく過ごそうぜ』と
信吾は大きな声をだしながら
自分の鞄の中から持参した
ゲームの箱をテーブルに出した

『あっ、懐かしいね』と
私は信吾が持ってきた
人生ゲームの箱を見ながら
言うと信吾が箱を開き
ゲームの準備をしはじめた

『座れば』と立っている私に
彼が自分の横の場所を
叩きながら言うと
私は笑顔で『うん』と答え
彼の横に座った

彼と言葉を交わしただけで
涙が出しそうになっていた

やっぱり決意を固めても
気持ちはやっぱり離れたくない
それが正直な本音
―だけど今日は絶対に
彼の前で泣かないと心に誓った
そして私は彼の隣で
涙が出ないように
必死で笑顔を作っていた

ゲームが始まり会話が
和やかになり私は気持ちが
少し楽になっていく
彼とも普通に話せていた

『あがり』と信吾の雄叫びで
ゲームが終わると
梨沙子の母親が用意してくれた
料理を食べながら
四人で話をしていた
それは旅行以来のことで
時間が過ぎるのも忘れる位
楽しい時間だった
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