となり
彼の家へ行くのは
これが初めてだった
私は緊張していた
中に入ると今まで忘れていた
現実を思い出させるかのように
荷物が箱に入れられて
引越しの準備がされていた

『ごめんな。バタバタしてて、ちらかってるけど、その辺に座ってて』と
彼は自分の部屋に
案内し部屋を出る

私は彼の部屋を
キョロキョロしながら
一通り見渡した

ふと目に入った本棚には
沢山のスポーツの雑誌が並び
そしてその中でも陸上の本が
山積みになって目立っている

彼はやっぱり陸上が
好きなんだと改めて
感じた瞬間だった

ガチャッと扉が開き
彼が飲み物を持って
中に入ってくる
そして飲み物を
テーブルの上に置くと
『熱いから気をつけろよ』と
注意すると『ありがとう』と
テーブルの上からカップを
手に取り口にした
中は温かいレモンティーで
とてもいい香りがした

『これ、クリスマスプレゼント。何がいいか、迷ったんだけど。俺が一番あげたいって思ったものにした。もえ、もしかして今日は来ないかもしれないと思ってたから、今日渡せてよかった』と
彼は急に手渡しながら
顔を真っ赤にさせ背中を向けた
< 148 / 411 >

この作品をシェア

pagetop