となり
第13章 ~強さ~
それから私達は
残された短い休みを
一日一日を無駄にしないように
二人でなるべく多くの
時間を過ごした

付き合い始めてから
彼は部活が忙しかったため
二人の時間なんてなく
こんなに彼と一緒に
いられることが出来て
私は毎日ドキドキしていた

水族館―
映画館―
年越しには日の出を見て
始めて着物を着て
初詣でにも行き
ゲームセンターで
初めてプリクラも取ったり
彼の母親のお墓参りにも行った
そして私達は二人の
写真を沢山残した

最後の別れの日には
再び体を重ね
お互いの体温を感じると
現実に引き戻されるかの様に
彼との別れが訪れた
楽しかった毎日は
長いようで短く
いつも隣にいた彼が
今日から私の隣から遠くなる
私は寂しい気持ちを
必死で抑えていた
そして彼が悲しまないように
最後まで笑顔を見せる

バス停まで彼が持っていた
小さいスポーツバックを
左右二人で持ち歩く

『じゃあ、着いたら連絡するから』と
彼はバスに乗り込むと
私に見せるように
指輪がはめてある
左手を振りながら笑顔を見せた
私も彼に指輪が見えるよう
左手を振りながら
彼の乗ったバスが
見えなくなるまで見送っていた
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