となり
父親は夜遅くまで仕事で
帰るのは私が寝た後が多く
なかなか三人揃って
食事をとることが出来なかった
今日は久しぶりに三人で
ご飯を食べれたことに
母親はとても機嫌がよかった

『もえ、今年は三年生か?受験はどうするんだ』と
父親がご飯を食べながら
問いかけると私は軽く
ご飯を詰まらせながら
『別に何も決めてない。とりあえず、桜ヶ丘にする。家から近いし』と
私の答えに母親は笑いながら
『もえらしいわね』と
ご飯に手をつけ始める

『そんなんで大丈夫なのか?』と
父親の言葉に母親は
『まぁ、高校卒業してくれればいいじゃないですか?』と
父親の心配もよそに
母親は人事のような
口ぶりで言うと

『まぁ、母さんが言うなら、頑張りなさい』と
父親はビールに口をつけた
父親は母親の言葉には
けして昔から逆らわなかった
私はそんな父親を見て
『お父さん、本当にお母さんの言いなりだよね』と
笑いながら言うと
『バカね、お父さんはお母さんの言いなりじゃなくて、お母さんのことが好きだから、お父さん何も言わないのよ』と
照れながら笑う

私は『はいはい』と
笑いながら言って笑った

何だか些細なことだけど
家族で過ごすこの時間が
今日はとても幸せに思えた
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