となり
そして式が終わると
拍手がまた沸き上がり
一組から再び席を立ち上がり
体育館を出て行く
私はまだ桜の木を見ていた

『ほらっ、戻るよ』と
順番が来たことに気付かずに
椅子に座っていた私に
梨沙子が声をかけた

『えっ、あっ、うん』と
私は落ち着かない感じに答え
椅子から慌てて立つ
『どうしたの?』と
変な様子の私に
梨沙子は問いかけると
私は顔を思い切り横に振り
そして体育館を出る

教室に戻りながらも
私はまだあの桜の木が
気になっていた
確かに人がいた
だけど…どうして?

教室に戻ると
先生が明日の予定と
教科書の配布をし出した
私はまだ落ち着かない
先生の話もまったく耳には
届いていなかった

『じゃあ~また明日からよろしくね』と
私の肩を叩いて
梨沙子は笑いながら
教室を出て行く
式が終わり今日はもう
このまま帰宅になる
教室を見渡すと
いつの間にかにクラスの生徒は
数少なくなっていた

そして私も席を
立とうとした瞬間
『ちょっと、式の最中落ち着きなくて、どうしたのよ』と
母親に声をかけられた
ふと見ると父親が廊下で
窓の外を見ているのが見えた
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