となり
洗面所に行き顔を洗うと
『本当に大丈夫なの?』と
母親がタオルを手渡し
再び心配そうな顔をする

私はタオルで顔を拭き
『大丈夫、大丈夫。それより朝ごはんは?』と
席に座ると母親は
牛乳を手渡しテーブルに
朝ごはんを用意した
私は母親に心配させない様に
笑顔で玉子焼きをつつき
牛乳を飲みいつもよりも
食欲があるように見せ
ご飯を食べ終え
『ごちそうさま』と
リビングをでると
階段の前でいつもよりも
激しく襲いくる吐き気に
母親に気づかれないように
私はゆっくりトイレに行き
今食べた物を吐きだした

胃がムカムカし気持ち悪い
もしかして私…
何かの病気なのかもと
急に体が小刻みに震えた
そして息をゆっくり吸う

『よし、大丈夫。頑張れる』と
私は自分に言い聞かせる

この時の私は何も
気付いていなかったんだ
このあと自分に
襲いかかかる現実がある事に
もっと早く気付いていたら
もっと違う結末も
あったかもしれないと―
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