となり
第15章 ~誕生日~
彼の住んでいる町まで
電車で約2時間弱
あの家に行くのは
今日で二回目だった
初めて訪れたのは彼と二人で
母親のことで訪れた時だった

あの時は悲しい気持ちで
溢れていた道のりも
二度目の今日は
嬉しい気持ちで溢れている
それが何故かとても
不思議な気持ちだった

電車に乗ると私は鞄から
彼が引っ越しをする前に
沢山取った彼との
思い出の写真が詰まった
ファイルを手にし開いた

あの時は彼が
遠くに行ってしまう…
毎日どうしようもなく
不安で寂しくて何度も
涙を沢山流していたけれど
気が付けば最近―
涙を流していなかった

写真の中の私は毎日
泣いていたせいか
目が赤く腫れて
作り笑顔をしている
あの時はとにかく彼と
離れたくないと思っていたが
今は彼と離れていても
寂しいと感ることが合っても
けして辛いとは
感じることはなくなった

今はお互いに自分の生活を
きちんと頑張って過ごして
いるからかもしれない
それは離れる前に
彼と約束したことだった
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