となり
来年になればまた
彼が久保高校を受験し
受かると同時に私も
桜ヶ丘に受験し受かれば
今よりきっと会える時間も
少なくなってしまう―

だけど今は先の不安よりも
ただ彼が望む久保高校への
道は彼に取って大切な夢…
素直に応援したいと
今の私は心から思っていた

きっと昔の私じゃ
考えられいほど
私は強くなったのだろう

涙を流していても
答えなんて出ない
先のことよりも
ただ今をきっちりと…
そんな強い思いだった

写真をパラパラ見ながら
彼に久し振りに会えることを
考えていると長い時間も
あっという間に経ってしまう

彼の住む町の駅に着くと
私は電車を降り
改札口を抜けた
まだ早い時間で駅前にも
関わらず人は一人もいなく
ただTaxiが2~3台
止まってるだけで静かだった
電車で2時間弱しか
離れていない場所なのに
辺りは寂しいほど
何もなくまるで昔に
タイムスリップしたかの
ような妙な気持ちになった

私は真悠さんに
連絡しベンチに座る
真悠さんは数分で現れ
私に気付くと車を
勢いよく停めた

『もえちゃん、お待たせよく来たわね。乗って』と
車の扉を開けた
私は軽く会釈し車に乗り込む
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