となり
私は彼の言う通り
意味もわからずに
辺りを見渡しながら
静かに座っていた

数分経つと大きな
ブブ―っと言う機械音が鳴り
ホールの中は更に暗くなり
彼の姿が見えないほど
真っ暗になった

私は少し不安になりながら
彼の手をそっと握ると
彼が耳元で囁いた

『もえ、上、上見てみん』と
彼は私を背もたれに倒すと
私は上をゆっくり見上げた

そこにはホール一面に広がる
無数の星屑が綺麗に広がっていた

『うわ~』と
思わず声が漏れると
彼は小さく笑う

彼はよく気がつくと空を見ていた
私は一度そんな彼に
¨何でいつも空を見ているの?¨と
問いかけたことが合る
その時彼はこう言っていた

¨小さい頃見た映画でパイロットになりたい…と言って騒いでいでた俺を、よく父さんと母さんは、プラネタリウムに連れて来てくれたんだ。よく三人で星空を見た思い出がある¨と
彼の中で家族で過ごした
楽しかった記憶は
プラネタリウムだったんだ
それ以来彼は自然に
空を見上げる様になったと…

私は彼の顔をチラッと見る
星を真剣に見つめている
彼の横顔が何だか
愛しい気持ちになり
握っていた手を強めた
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