となり
そして再び私達は
自転車に乗ると
今度は駅近くにある
彼が友達とよく行くと言う
小さな洋食屋さんに向かった
そして彼のよく食べる
パスタを食べながら
色々な話をし駅に向かう

幸せな時間はあっという間に過ぎる
さっきまで楽しかった気持ちが
駅に近づくにつれ
悲しくて寂しくなって行く

駅に着くと昨日見た
この殺風景の駅…
これから彼に会える喜びで
昨日は何も感じなかったけれど
今はこの殺風景の駅が
私達の別れの寂しさを
物語っているかのように
心細くそして切なく感じた

私達は駅のホームに
ゆっくり歩きながら
時間が止まればいい…
そんなことをお互い考えていた
彼は私の荷物を持ち
人が一人もいない
駅のホームに立つと
『一人で大丈夫か?気をつけて帰れよ。またいつでも、連絡しろよ』と
少し寂しげに言う

私は軽く頷き
彼の手をギュッと力強く握った

『今度はいつ会えるのかな?』と
私は小さい声で囁くと
彼は私の手を引き寄せ
ギュッと強く私を
抱きしめそっとキスをする

言葉を何度交わしても
寂しい気持ちは
けして消えない―
たった2時間半弱の距離なのに
なぜか遠く感じて
電車に乗るのが怖くて
なんだか足がすくんでいた
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