となり
彼はスポーツが好きで
その中でも走ることが
好きだった彼は
陸上部に入っていた
私の友達の知己も
彼と同じ陸上部にいた

私が入った吹奏楽部の部室は
グランドがよく見える
窓際の教室だった

吹奏楽部は一人ひとつの
楽器を担当する決まりで
私が担当になったのは
クラリネットだった
以前にも担当したことがあり
スムーズに演奏が出来たせいか
新入部員の中では出来がよく
先輩に目をかけてもらえた

文化部ではあるが毎年夏に
吹奏楽部も運動部と同じ様に
大きな大会がある
私達一年生が入り
担当の楽器が決まる
この時期からはもう
練習は念入りにされ
運動部と同様帰りがしばしば
遅くなることもあった

『お疲れ様、今日はここまで』と
部長の田辺先輩が
演奏を終わらせた

部員達は楽器をかたしながら
帰り仕度を始める

ふとグランドを見ると
まだ陸上部らしき人が
走っているのが見えた

そしてその瞬間―
『瑞木~』と
誰かが彼を呼んでいる声
聞き覚えがある声に
私は思わず叫んだ先に
目を向けた…
やはり友達の知己だ
知己が彼を呼んでいる―
二人は近づき何か話をしている
そして彼は知己を笑いながら
追いかけ二人の楽しそうな姿を
窓から私は見ていた
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