となり
『ならいいけど、何かあったら必ず言いなさいよ』と
母親は言うと
洗濯機のスイッチを押す

『じゃあ、私もう行くね』と
キッチンに戻り荷物を持つと
私は玄関に向かった

『忘れ物ないの?』と
母親も私の後ろから
見送りをするために
私と玄関に向うと

私は扉を開けながら
『ないない』と
いい加減な感じに答え外に出る

玄関の扉を開くと
目の前の遊歩道には
桜の花の香りがフワッとするくらい
桜が満開に咲き広がっていた

私は自転車に股がり
『行ってきます』と
声をかけると
母親は軽く手を振り
『行ってらっしゃい』と
私の姿が見えなくなるまで
母親は見送っていた

この遊歩道に並ぶ
桜の木も中学に入って
今年で三度目を迎えた

そして息を切らしながら
登ったこの坂道も
今はもう立ちコギしなくても
上がれるようになった

来年は高校生―
またこの道を通って
学校に行くことになっても
その時の気持ちは
今日とは違う気持ちなんだろう―
中学よりも高校のほうが
何だか特別な感じがする…
そんなことを感じながら
自転車をこいでいた
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