となり
夢の中の世界は
暗くて光さえもない
どこまでも闇が続く

私はどうしてそこにいるのか
わからずに一人で
必死で誰かいないか
叫んでいるが
私の声は誰にも聞こえていない

一人孤独と暗闇に怯え寂しくて
私は泣いてしまうと
遠くのほうから
誰かが話をしている声がし
私は暗闇の中を手探りで
必死に歩いて行くと
やがてそこは今までの
暗闇と違い光満ちた
花が咲いて綺麗な
世界が訪れる

私はその世界に
足を踏み入れると
そこには彼が一人
笑って立っていた

私は彼に近づくと
彼は悲しい顔で
私から離れて行く
私はそんな彼を追いかけ
やがて彼は大きな桜の木の下で
止まり振り返り
再び悲しい顔を見せ

『ここには来ちゃいけない。もえ、帰るんだ。もえは、ちゃんと幸せにならないとダメだよ。さぁ、もう行って』と
彼は私の背中を押す

私は首を振りながら
彼に再び近づくと
『帰らない』と
彼の言葉を無視し
彼にしがみつくと
彼は暗闇の世界を指差しながら
『もう戻れなくなるよ』と
彼は言い私は頷くと
暗闇のほうから
私を呼ぶ声がする―
< 215 / 411 >

この作品をシェア

pagetop