となり
その光景がとても
うらやましく思え
同時に胸の奥底がモヤモヤした
変な気持ちになった
だけどそれが何なのか
その時の私はまだ何も
わからなかったんだ
この先私の人生を左右するほど
大事な出来事になるなんて…
夢にも思ってなかったんだ

部室を出て自転車置き場に行き
私は自転車に股がると
風が冷たく肌に触れて
辺りは暗くなり始めていた
玄関付近は話声がまだ
パラパラとしている
段々と下校していく
生徒も少なくなり
残っている自転車も
少なくなっていった

そして私は自転車を
走らせようとした瞬間
『お~、まだいたのか?』と
声をかけられ振り返る
そこにはジャージ姿の彼が
沢山の荷物を持ち立っていた

『部活終わったの?』と
私は彼に問いかけると
『お~、かなり疲れた。チャリ通かょ~、送ってけょ』と
私の自転車の後ろに股がり
ふざけながら答えた

『あ~瑞木~』と
再び聞く彼を呼ぶ声―
同時にまた胸の奥底が
モヤモヤしだした

『ちょっと、何してんのよ』と
知己は私がそこに
存在していないかのように
彼に話し始めた
私は段々と二人の会話が
耳に入らなくなっていく
そしてこの場所から
早くいなくなりたい
そんなふうに感じていた
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