となり
母親の車に揺られながら
私は気持ち悪いのを
少し我慢しながら
平気なふりして
必死で笑顔を作っていた
次第に病院に近づくと
体が震えてくるのがわかった

何度もみんなから
病院に行けと言われると
不安になるものだ
もし自分が何かとてつもない
大変な病気だったら…
そしてそれが原因で
死が待ち受けているとしたら…
色々と悪い方向へ考えてしまう

あと数分で病院に着いてしまう
その瞬間にこの体調の
答えが明きらかになる
私は更に体の震えと共に
強い吐き気が襲いかかり
母親に悟られないように
必死で堪え続けていた

そして車は停止すると
『もえ、着いたわよ。ほらっ行くわよ』と
車を先に下りると
私も少し間をあけて
助手席の扉を開け車を下りた

『ほら、行くよ』と
車の扉の前に立ったままの
私の手を掴み母親は歩き出す

『やっぱり行かないとだめ?』と
私の言葉に母親は
真剣な顔をしながら
『だめ、諦めなさい』と言いながら
足早に病院の中に入った
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