となり
看護婦さんは母親に声をかけ
母親が病室に入ると
奥から看護婦さんは椅子を運び
母親の前に置いた

『お母さん、どうぞ』と
先生の言葉に母親は
『すみません』と
椅子に腰を下ろした

先生は私の顔を見て
『じゃあ伝えるけど、大丈夫?』と
問いかけたが
私は下を向いたまま
何も答えなかった

『では、お母さん。色々と娘さんから、お話を聞いてみて、心電図で体の中を診てみた所、お母さんには、誠に申し上げにくいことなのですが、娘のもえさんは、ただ今妊娠2ヵ月半になります』と
先生の言葉に
母親の顔色が変わった

『えっ?先生今、何て?』と
母親の言葉に先生は
再び口を開こうとすると
『今、妊娠って?先生、何かの冗談ですよね?うちの娘は…まだ14歳なんですよ』と
母親の大きな声に
先生は首を横に振りながら
『本当のことです。もえさんは、まだ未成年なので、お母さんに伝えましたが、今後の処置は、一度産婦人科に行き、相談をして頂き決断する必要があります。処置を考えるならば、早目に相談に行かれたほうがよろしいと思いますので、きっちり家族で相談して決断して頂けますか』と
先生の言葉に私も母親も
無言になった
< 225 / 411 >

この作品をシェア

pagetop