となり
リビングに行きイスに座る
母親がキッチンから
牛乳を持ってくると
私は用意されていた
朝食に手をつけると
父親が立ち上がり上着を羽織る
『行くぞ』と玄関へ歩き出すと
母は玄関の扉を開け
『行ってらっしゃい』と
父が見えなくなるまで見送る
そんな変わらない光景が私は
小さい頃から好きだった

私は口数があまり多くなく
何を考えているかわからない
父のことを母はなんでも
わかってしまう
そんな二人の関係が
とても好きだった…

将来結婚するなら
そんな二人の様な
夫婦になりたいなんて
口にはしなかったが
憧れていたのは事実だった

¨恋¨って言葉では
簡単に口に出来るけど…
この時の私にはまだ
それがよくわからなかった

昨日なぜ二人を見て
あの場から逃げたのか
そして涙が出たのは
なぜか私にはわからない…
不安な気持ちを胸にしまい
学校へと向かう

今日は普段より少し
早目に学校へ行く
コンクールが近いため
朝練があったからだった
1年の私には中学に入り
初めての大会で
力も入り胸も高鳴る

自転車置き場に着くと
朝早いと言うのに
自転車がもう沢山置いてある

私は玄関で上履きに履き変え
部室に向かう
< 24 / 411 >

この作品をシェア

pagetop