となり
一緒に走っていた
高橋君も足を止め
『佐藤、大丈夫か?』と
彼に近づき声をかけたが
彼はピクリともせず
倒れたまま動かなかった

高橋君は慌てながら
『佐藤?大丈夫か?』と
何度も叫んでいる
先生や部員はただならぬ様子に
彼の元に集まると
『どうした?佐藤、大丈夫か?』と
先生も彼に声をかけるが
彼はその場に倒れたまま
まったく意識がなかった

『おい、救急車呼んでこい』と
慌てながら生徒の一人が
校舎に向かって走り出すと
救急車を呼びだし
彼は病院へ運ばれた

どのくらい意識がなかったのか
意識が朦朧としていて
自分の体がまるで
自分のではない感覚に襲われ
彼はベッドの上で目を覚ました

そして目をキョロキョロさせ
自分が今何処にいるのか
すぐには認識できなかった
そして記憶が少しづつ
彼の脳裏に蘇ると
自分が倒れたこと…
そして記録会の
選手になれなかったこと…
全てを思い出した
そして起こそうとしても
動かない体をベッドに
叩きつけながら
彼は大きい声で叫んだ
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