となり
彼の声に父親が
病室に駆け込んできた
『空太、大丈夫か?』と
父親の言葉に
彼は父親の顔を見る
『どこか痛むのか?お前、走っている最中に倒れて意識がなくなって、病院に運ばれたんだぞ。先生から連絡あって、心配したんだぞ。空太覚えているか?』と
父親の言葉に
彼は再び自分の現実が突き刺さる
自分が代表になれる寸前…
ゴールは目の前だった
彼は確信さえあった
確かな手応えだったはずの
自分の走りを思い出し
彼は力を振り絞りながら
ベッドから体を起こした

『俺、俺…すぐに戻らないと、明日は市内の記録会なんだ。代表にならないと。今ならまだ間に合うんだ。今度は大丈夫だから、始めから走れば大丈夫だ…今なら…大丈夫。明日は大事な記録会だから、もえだって応援に来るんだ。ちゃんと選手に選ばれないとカッコ悪りぃ~し』と
彼は布団を剥ぎ取り
ベッドから立ち上がると
父親は彼を掴んで
ベッドに押し倒し叫んだ

『何言ってるんだ。今日はこのまま入院だ。だから何かある前に病室に行けと言ったんだ。検査をちゃんとしていたら、こんなことにならなかったんだぞ』と
父親の声に彼は萎縮した
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