となり
『と、父さん?何言ってんだよ。俺は大丈夫だよ。入院なんて必要ない。すぐに戻らないと』と
彼は父親の手を払うと
再びベッドから起き上がると
トントンと扉を叩く音がし
病室に医師が入ってきた

そして父親は医師の姿を見て
頭を軽く下げると

『佐藤さん、検査をしてみて、体の状態を調べてみます。今日はこのまま、入院と言うことになりますので、よろしくお願いします』と
医師は告げると病室を出て行った
そのあとを追うように
父親も病室を出て行くと
彼は一人病室に取り残された

入院―
彼の頭にはこの残酷な二文字が
一瞬にして真っ暗な闇に変わる

明日は記録会と言う大切な日
今まで積み重ねてきた物が
一瞬にして崩れ去る音を
彼は感じ絶望した

そして拳を床に殴りつけて
声をあらわにしながら涙を流した

廊下では着替えや
入院の用意をしに
家に戻っていた
真悠が病室の扉に
手をかけたまま
中に入れずにいた
そして彼の泣き声を聞き
真悠も彼に便乗して
声をもらさずに泣き
その場にしゃがみこんだ
そして彼はその日から
入院することに決まった
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