となり
話を終え部屋を出ると
彼の病室に二人は
重たい足取りで向かった

彼に何て伝えようか直人は
不安と息子の先の見えない
運命に恐怖で体が震えていた

二人は病室に入ると
彼は相変わらず脱け殻のように
ただ窓の外を見ていた
直人は彼の様子を見て
息を整え口を開いた

『空太…検査の結果がでたぞ』と
父親の言葉に
今まで意識がなかった
彼が反応を示した

『大事なことだから、ちゃんと聞いて欲しい。隠していてもいずれは気づくことだから、はっきり言う。脊髄小脳変性症…これが空太の病気の名前だ。脳にシコリが出来て神経を圧迫し、機能を壊して行く病気だそうだ。最近よく転ぶと言うのも、病気の初期の症状だからだ。これから先、症状が進行して行くにつれ、辛いことだが、陸上は続けて行くのは難しい』と
父親の言葉に
彼の顔は一気に曇り
彼は久しぶりに口を開いた

『病気?なんだよ、それ。陸上が続けられない?父さん、冗談言わないでよ。ただの検査だろ?検査したら平気って言うから、記録会も諦めて入院したんだろ。結果わかった途端、陸上自体辞めろって言うのかよ。今までやってきたことを全てムダにしろって言うのかよ』と
彼は声をあらわにし叫んだ
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