となり
そして一夜が過ぎ
私は泣き腫らして
赤くなった目を擦りながら
リビングに向かうと
母親はいつもと変わらずに
朝ご飯の支度をしていた

『おはよう』と
リビングに入った私に
母親が声をかけると私も
『おはよう』と
母親に小さく挨拶すると
泣いた目を見せない様に
足早に洗面所に向かった

自分の顔を鏡で見ると
酷い顔をした自分に
とても悲しい気持ちになった

『何かあったの?』と
顔を洗っている私に
母親がタオルを持ち
後ろから声をかけた

『お母さん…私…』と
何かを言い出し
『何でもない』と
私は言葉を呑み込み
そして再びリビングに行くと
テーブルに用意された
朝ご飯に口をつけ始めた

『今日は、病院の日だから、学校には遅刻するって連絡しとくけど…』と
母親の言葉に私は
『学校休む』と
小さく答えると
母親は軽く頷いた

家族で話した結果
子供は諦めることに決まった
だけど私は最後まで
子供を産むことを
諦めようとしなかった
今日も病院に処置しに
行くと決まったていたが
彼の所に逃げようと考えていたが
私と同じように喜んでくれると
信じていた彼からの突然の別れに
この時の私は回りが見えず
子供のことも考える
余裕すらなかった
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