となり
私が駅に着いた頃に
母親からの着信…
いきなり病院から消えたことで
母親は焦っているに違いない
だけどそれどころじゃなかった

私は携帯の電源を切り
足早に電車に乗り込む
朝のラッシュが
終わった後だったのか
電車に乗ると人は
さほどいなかった
私は角の椅子に座ると
電車の揺れが心地よかったのか
そのまま目を閉じ眠りにつく


―暗闇に光が差し
私は一人で歩いている
しばらく行くと
そこには彼がいて
私は手を振りながら
彼の名前を叫び歩み寄ると
彼は私の知らない
女の子と仲良く話をしていた

私は足を止めて
彼とその女の子を
少し離れた所から見ていると
彼は私に気付き
そして私の顔を見て
その女の子と私の前で
キスをしそして
二人で歩き出す…
私は必死で彼の名前を叫び
二人を必死で追いかけるが
二人はどんどん離れて行き
私はいくら走っても
彼には追い付けない
そしてやがて二人は
私の前から消えてしまった

『空太…』と
私は手を伸ばし
そして目が覚める
いつも見る夢とは別の嫌な夢―

『夢か…』と
私は辺りを見渡し
ため息をもらした
何だか今の夢が
未来を予知しているかのようで
私は少し震えた
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