となり
『何言ってるのよ。お腹を痛めて産んだ子供を見捨てる親なんてどこにいるのよ。だからこそ、もえの歳で赤ちゃんを産む危険性が、どれほど大変なことなのか、子供を産んだお母さんだからこそ、ずっと賛成しなかったんだからね。赤ちゃん云々じゃなくて、もえが自分のお腹の赤ちゃんを思うのと同じように、お母さんはもえのことが一番大切なのよ。お母さんだって自分の娘が産む赤ちゃんが可愛いくないわけじゃないの。だけど、先生が言うように、子供を産むことで、もえの命が危なくなるなら、お母さんは迷わず、もえを選ぶのは当たり前のことなのよ。お母さん、もえがいなくなったら、どうしたらいいのか、わからなくなるくらい、もえが大事なの。だから…だから…』と
母親は再び涙を流すと
私は言葉がそれ以上でなかった

そして母親はそんな私を
強く抱きしめると
母親の手は震えているのがわかった
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