となり
『七瀬さん、どうぞ』と
看護婦さんが声をかけると
母親が席を立ち
『ほらっ、行くわよ』と
私も母親に続き席を立ち上がる

『失礼致します』と
母親が先に診察室に入り
先生に頭を下げ挨拶をする
私も母親の後ろから
静かに診察室に入ると
母親が椅子を指さし
『早く座りなさい』と
声をかけられ私は
先生の前に置かれた
椅子に腰をかけた

『はい、おはようございます。七瀬さん、その後どうですか?体調の方は大丈夫ですか?』と
先生は私の目を
真っ直ぐに見つめ
優しく笑いかけた

『おはようございます。はい、体調は大丈夫です。食欲も睡眠もきちんと取れています』と
私が答えると先生はカルテに
何かメモしながら
『いいことですね』と
優しく答え再び笑った

『では、エコーでまたお腹の様子を見せてもらいますね』と
先生の言葉に看護婦さんは
ガタガタと機械を運び
そして診察室の灯りを消すと
私はベッドに横たわる

『じゃあちょっとお腹に液体塗るからね』と
看護婦さんが液体を
私のお腹に塗り始めそして
先生はお腹に機械をあてた

『冷たっ』と
私はとっさに口に出すと
『我慢しなさい』と
母親が小さい声で囁いた
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