となり
『我慢してね』と
先生も笑いながら言うと
『七瀬さん、わかりますか?モニターのこの微妙に動いてる部分が赤ちゃんになります。とても元気に動いていますよ』と
先生が指差した所を
私はモニターで確認した
豆粒くらいで微妙だったが
確かに動いているのがわかった
何だか胸の奥がほんわか
温かい気持ちになった

『はい、じゃあいいですよ』と
先生は機械をお腹から
離して液を拭き取る
そして私はベッドから
起き上がり再び椅子に座った

『では、今日は、以前ご家族で話し合いをして下さいと言いましたが、今後どうなされますか?こちらとしましては、以前にもお話した通り、七瀬さんの年齢での、妊娠と出産は体に大きな負担がかかり、その上まだ体が未発達のまま、この先お腹が大きくなるに連れて七瀬さん自身の体が耐えられるかどうか、わかりませんし、危険も生じることも考えられます』と
今まで優しい笑顔をしていた
先生の顔は険しくなると
少し真面目に話をしている

私はお腹に手を当て
そして横に立つ母親の顔を見た
母親は何も言わずに
ただ私をいつもの優しい
目で見つめると
『産みます。危険でも、産みたいです』と
迷いのない気持ちで
はっきりと答えた
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