となり
そして私は何度も
『お母さん…ありがとう…ごめんね』と
繰り返し告げると
母親は何も言わずに
ただギュッと強く
抱きしめてくれた

しばらくすると
電話の音がし母親は私から離れ
『あっ電話…。もえ、もうお風呂大丈夫だから…入ってきなさい』と
母親は声をかけると
急いで部屋から出ていった

私はタンスから着替えを出し
軽く涙を拭くと
お風呂場へと向かった

お風呂の中に入ると
久しぶりに感じた
休息に心がホッとした

一方その頃―
私に別れを告げた後
彼は自分が病気になり
先が見えない不安な気持ちで
今にも押し潰されそうなくらい
ボロボロになっていた

『空ちゃん、今日もえちゃんと一緒に、碧に会いに行って来たわよ。空ちゃんの病気のこと伝えようと思ったけど、突然もえちゃん、気分悪くして、倒れて病院に運ばれて、そのまま少し入院みたいなの』と
それは私が中絶を抜け出し
真悠と碧のお墓に行って
倒れた日のことだった
真悠の言葉に今まで布団の中で
丸まっていた彼は
勢いよく飛び起きた
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