となり
病室に移されると
何もない殺風景な
一人部屋の病室だった

彼はまだ眠ったまま
ベッドに横になっている
真悠は彼の横に座り
そして彼の寝顔を見つめ
『空ちゃん…ごめんね。無事で本当に良かった』と
真悠は彼の顔に手を添えると
さっきまで冷たかった体温が
今は温かく感じホッとした

そして病室の扉が
ガラッと開くとそこには
直人の姿が見えた

『真悠…空太はどうだ?』と
直人の問いかけに
真悠は少し間を置き
『うん、大丈夫だって。ひとまず、また入院になっちゃったけど何もなくて良かった。正直、空ちゃんが処置室に入った時に、体の震えが止まらないほど、不安だったんだよ。このまま空ちゃんが…。処置室から出ても、眠ったままだったらどうしようとか考えちゃって』と
真悠は再び自分の手が
震えだしたのがわかった

直人は何も言わずに
真悠の手を強く握ると
『真悠、ありがとうな。空太は大丈夫だ。碧が守ってるよ。碧だって、そう簡単には空太を連れて行かないだろう』と
直人の言葉に
真悠は少し安心したのか
体の力が抜けて
彼の手を握りながら
彼に寄り添う様に
ゆっくり目を閉じた
直人は真悠の上に軽く
上着をかけると持って来た
彼の荷物を片し始めた
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