となり
病室に移って数時間が過ぎ
真悠はゆっくり目を開けると
ベッド脇にあるテーブルの上に
彼がいつも使っている
目覚まし時計が置いてある
時刻は朝の8時になった所だ

真悠は椅子から立ち上がると
直人が持ってきたのか
最低限必要な物が
袋に詰め置いてあった

そしてガラッと扉が開き
姿がなかった直人が
病室に入ってくると
『直人?』と
真悠の問いかけに
『朝飯』とコンビニの袋を持ち
直人はニコッと笑い
真悠の隣に椅子を置き
座るとコーヒーの缶を開けた

『俺、午後からは仕事行かないと行けないけど、真悠、空太のこと頼むな』と
直人の言葉に真悠は
直人の買ってきた水の蓋を開け
軽く口を付けそして頷いた

朝運ばれてから
お昼過ぎになると
直人は会社に向かうが
まだ彼は目覚めないままだった

真悠は部屋の窓を開ける
外からは少し冷たい風が
吹き抜けると後ろから
¨う…っう…ん¨と
微かな声が聞こえ
真悠は素早く後ろを振り返ると
うっすらと目を開く彼の姿―

『空ちゃん?』と
真悠は声をかけると
彼は少し弱々しく
『俺…どこ、ここ?』と
体をゆっくり動かした
『ちょっと今、先生呼んでくるからね』と
真悠は急いで病室を出ていった
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