となり
『やっぱり病院か…俺、あのまま意識なくなったんだ…』と
彼は呟き布団から体を起こした
真悠が開けた窓から吹く風が
何だか心地よく感じた

しばらくするとガチャっと
扉が開くと先生と
真悠が病室に入ってきた

『佐藤さん、どうですか気分は?』と
声をかけると彼は軽く頷き
『はい…大丈夫です』と
小さい声で呟いた

『今日はこのまま、また入院してもらうことになりますが、先日お話した病気の進行も調べて、佐藤さんに合う治療法も探し、今後の治療の参考にしていきますから』と
先生の言葉に対して
何も言わない彼に代わり
真悠は深く頭を下げ
『お願いします』と
何度も繰り返し言うと
先生も軽く頭を下げ
病室を出ていった

『空ちゃん、お腹空いてない?点滴してるけど、食べても平気みたいだから、何か食べる?昨日から何も食べてないでしょ?』と
真悠の問いかけに
彼は口を開かなかった

真悠は何も言わずに病気を出て
売店に向かうと
彼の好きな物を選ぶと
彼の病室に再び戻ったが
彼は食べ物に
口をつけることはなかった
< 293 / 411 >

この作品をシェア

pagetop