となり
夕方になる頃に
仕事を終えた直人が
病室に顔を出した

そこにはだいぶ顔色が
よくなっていた
彼の姿に直人はホッとした

『空太、具合はどうだ?』と
父親の問いかけに
彼の返答はなかった

『顔色はだいぶいいな。本当良かった。先生に今、少し聞いたが、今後の治療法のことで、またしばらく入院するらしいが、何かあったら、連絡しろよ』と
父親の再びの言葉にも
彼は相変わらず何も言わない

トントンと扉を叩き
看護婦さんが中に入ってくる

『佐藤さん、お食事ですよ。食べれますか?点滴はもう平気ですから、外しますね』と
看護婦さんは食事を
テーブルに置き言うと
彼は看護婦さんに腕を出す

『じゃあ佐藤さん、点滴外したので、きちんと食事取って下さいね』と
再び言葉をかけると
病室を出て行った

直人は彼の様子を見て
『空太、今日はもう帰るからな。空太も疲れただろう。ちゃんと看護婦さんの言う通り、食事食べるんだぞ。また明日来るから』と
直人は荷物を持ち真悠を見る

『空ちゃん、また明日来るから』と
真悠も声をかけると
二人は病室をゆっくり出て行った
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