となり
これからもずっと
何ひとつ変わらずに
学校生活を過ごし
みんなと無事に
卒業するはずだったと
もうそれは叶わない夢なんだ…
そう感じた瞬間―
涙がとめどなく溢れ出した

『この制服…気にいってたんだよな。この席もいっつも、梨沙子と一緒だった…』と
私は独り言のように言うと
ゆっくり席を立ち
そして黒板の前に立った

『今、一番辛いのは、みんなに挨拶も言わないで、このままいなくなっちゃうこと。みんなごめんね…そして何よりも、梨沙子に何も言えなかったこと、本当にごめんね。私、このクラス大好きだったよ。私と仲良くしてくれて本当にありがとうございました』と
私は涙を拭くと
誰もいない教室に
軽く頭を下げた

パチパチと母親は
私の言葉に小さく手を叩くと
私は顔を上げた

『自分で頑張るって決めたんだから、泣いてばかりいられないわよ。この先、辛いことも全部、一人で乗り越えないと行けないんだから。そうじゃないと、赤ちゃんなんて、産むなんて簡単なことじゃないんだから。それが出来ないなら、今ここで諦めなさい』と
母親の言葉に私は
自分の決めた決心を
改めて強くし涙を拭くと
『今までありがとうございました』と
頭を下げ教室を出た
< 304 / 411 >

この作品をシェア

pagetop