となり
顧問の先生が今日はこのまま
解散と告げると
私は梨沙子のいる
客席へと走った

会場のホールには
さっきまで人で埋めつくされ
賑わっていたのが
今は人ひとりなく静かだった
私は外に抜ける扉へ向かい
勢いよく扉を開け外を見渡した

『お疲れ~』と
梨沙子が肩を叩き
私は振り返ると
彼の姿はそこにはなかった
そして私はまた辺りを見渡す
彼女は何かを察し
『もしかして、瑞木?』と
梨沙子は笑いながら私に言った
私は少し顔を赤くして
何も言わずに頷いた…

『実はね、瑞木が行きたいって、私に日にちと時間とか聞いてきたから教えたんだけど、まさか本当に来るとはね。まさか瑞木…』と
梨沙子は意味深に笑う
私は梨沙子の言葉の意味が
理解出来ないまま
何故彼が来たのだろうか…
私の気持ちは困惑していた

そんな私の様子に
梨沙子は気付いたのか
再び意味深に笑いながら
私を見つめ再び口を開いた

『気になるんでしょ?瑞木、部活抜けてきたって言ってたから、学校戻ったんじゃないのかな?予選の報告がてら行ってきなよ』と
私の背中を軽く押した
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