となり
そしてこの日を栄えに
病気を知って口数が
少なくなった彼は
まったく口を利かなくなり
部屋に閉じ籠りがちになり
脱け殻だった彼の姿は
生きているのか死んでいるのか
わからないほど心を閉ざしていた

次第に彼の症状は
頻繁に出始めると
手が急に動かなくなったり
足にまで症状が現れ
彼は毎日不安な気持ちで
今にも死んでしまいそうな
暗闇に呑まれる思いだった

『今日も空太は、学校に行かなかったのか?』と
直人は仕事から帰り
着替えをしながら
真悠に問いかけた

『うん、ご飯を持って部屋に行っても、食事は取らないし、ただ外を見つめて、動かないの。薬は飲んでるみたいだけど。それに、学校の友達も何度かお見舞いに来てくれてるんだけど、会おうともしなくて。このまま行ったら、前よりも酷くなっちゃう』と
真悠の疲れきった顔を見つめ
『病院に戻そうか。空太のためと思って退院をさせたが、こんなんじゃ、空太を余計にダメにしてしまいそうだな』と
直人の言葉に真悠は
どうしたらいいのか困惑していた
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