となり
『もえ、もう時間じゃないの?』と
母親は洗濯を干し終え
リビングに入ってくると
私に声をかけた
私は時計を確認し
再び部屋に戻ると
机から携帯を手にし
玄関に急いで走り出す

『お母さん、じゃあ行ってくるからね』と
声をかけると母親が足早に
リビングから走ってきた
私は靴を履き替え
玄関の扉を開けると
冷たい風が顔にあたり
少し気持ちよかった

『一人で平気?送らなくて本当に平気なの?具合は大丈夫?』と
母親は心配そうに言うと
『大丈夫だよ。お母さん心配し過ぎだから。一人でも平気だよ。バスですぐなんだし。着いたらちゃんと連絡するから』と
私は軽く手を振ると
バス停に向かい歩き出した

『気をつけなさいよ。ちゃんと着いたら連絡してね』と
母親は少し大きな声を出し叫ぶ
私は軽く頷き手を振った

大好きな遊歩道を
久し振りに歩いている
お気に入りの桜の花びらは
いつの間にかに
緑の葉に変わっていた
そして気が付くと
彼と会わなくなって
一ヶ月が過ぎようとしていた
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