となり
私は控室に戻り荷物を抱え
足早に自転車に股がり
学校へと急いだ

暑い中私は無我夢中で
自転車をこいでいた
学校へ着くと息は切れ
制服が汗ばんでいた

私はとりあえず
グランドに向かうと
調度お昼休みなのか
ご飯を口にしている生徒が
何人もいるのが見えた

私はグランドを見渡し
彼の姿を探した
そこには彼の姿はなく
ふと頭にあの桜の木が浮かぶ
彼はあの桜の木が大好きで
いつも木に登っては
授業をさぼって寝ていた…

そして私は桜の木へ自然に
足が向かい走っていた
体育館へ続く外廊下に出ると
少し冷たい風が当たる
私は立ち止まり息を整え
少し髪を直し再び歩き出す

いざ桜の木へ向かおうとすると
誰かの話声が聞こえ
聞き覚えがある声に
再び立ち止まると
やはり知己の声だった

知己は木の上を見つめて
誰かに話かけている…
彼だとすぐにわかった

『ちょっと…瑞木~さっき部活サボってどこ行ってたの?』と
知己は彼に言っている
私は盗み聞きをしようと
思っていたわけではないが
その場から動けずにいた

『別に~』と
彼は鼻歌を歌いながら答えた…
私は二人の会話に
動揺しながらも耳を澄ます…
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