となり
私は鞄の中から
携帯を取り出すと
マナーモードにして
そしてメールを覗いた

色々なことがあって
携帯を見ることがなかったから
着信履歴やメールも
何通も溜まっていた

その中には少し期待もあった
彼からの連絡―
別れを告げられてから
一度もない…

そして私はゆっくり
カーソルを動かしながら
ひとつのアドレスに目が止まる

『あれ?このアドレス誰だっけ?登録してないみたいだけど、誰かアドレス変えたのかな』と
私は独り言を言いながら
そのメールを開いた
そして次の瞬間
私の胸が張り裂けそうな位
不安な気持ちがよぎる

それは達也から送られた
メール文だった
達也からのメールには
彼が退院…入院…
学校を休んでる?
私には理解できない文字に
私の頭の中はグルグルしていた

『七瀬さん、どうぞ』と
看護婦さんが扉を開けて
声をかけたが
今の私には全く声が
聞こえていない

『な、七瀬さん』と
看護婦さんは私の前に立ち
私の顔を覗き込み
再び声をかけると
私は少し驚きながら
看護婦さんを見るとニッコリ笑い
『どうぞ』と言う言葉に
私は軽く頷き席を立ち上がる
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