となり
『頭を上げて下さい。全てが空太君のせいではありませんから。娘も何も考えずにした行為です。こちらは大丈夫ですから、今は空太君のことだけを考えてあげて下さい。今日はお会い出来て、本当に良かったです』と
もえの母親は告げると
テーブルに置いてあった
伝票を持ち彼女は歩き出した


―――トントン
扉が開き先生が入る
気が付くともう昼食が過ぎ
午後の検診が始まる
時間になっていた

私は相変わらずに
布団を深くかぶり
体を小さく丸めながら
少し震えていた

『七瀬さん、昼食も手をつけなかったみたいね。朝も話ように、このままだと、お腹の赤ちゃんにも影響が出てしまうわよ。今は自分よりもお腹の赤ちゃんのことを一番に考えてあげないといけないのは、七瀬さん自身わかるわよね?せっかく産むことを決意したんだから、強く行かないとだめよ』と
先生の言葉に私は
じんわりと目頭が熱くなった

ポンポンと布団の上から
体を叩かれた私は
少しづつ布団から
顔をだすとそこには
笑顔で見つめる
先生の顔がとても
温かく感じ涙が溢れる

『せ…先生。私…私…彼に会いに行きたいんです』と
私の言葉に先生は
何も言わずに頷きながら
私の背中を擦る
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