となり
自転車をこぎ無我夢中で
走りだしていた
家へ向かっているのか
どこに向かっているのか
自分でもわからないくらい
自転車をこいでいた
だけど今はあの二人から
一刻も早く
離れたいと必死だった

汗だくになりながら
自転車をこぐ
ガシャン―と
大きい石につまづいたのか
大きく自転車が横に倒れ
膝のすり傷が痛み我に返る
そこは知らない場所だった
急に不安な気持ちが込み上げ
ポツン―
一粒の涙が…
そしてそれは続けて
涙は溢れ出し止まらなくなる

膝が痛く泣いているのか
不安で泣いてるのかさえ
もう何もわからず
ただ声を大きく出し
ひたすら泣いていた

この瞬間…
私の中で彼が特別な人だと
初めて気付いた
誰にも取られたくない
初めて知った嫉妬心だった

この日は自分がどうやって
家に帰宅したか憶えてほど
家についた時には
すでにもう声が出ないほど
ガラガラで目は腫れていた

布団に入っても
再び止まることのない涙は
体の中の水分が
全部出てしまったと
感じるくらいに涙を流した
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