となり
真悠も直人も今の
彼にはもえが必要だと
分かっていた―
それでも直人の言う通り
もえに負担をかけられない
真悠も心ではわかっていても
納得出来ない気持ちで
ただ泣くことしか出来なかった

翌日直人は真悠が
まだ寝ている
早い時間に家をでると
車のエンジンをかけ
待ち合わせ場所に向かった

車を走らせながら
昨日言われた真悠の言葉が蘇る
真悠が言うように
このまま二人を
会わせないままで
いいのだろうか…と

待ち合わせをした
喫茶店に着くと
店の中はニ、三人の
お客さんしかいなかった
直人はキョロキョロと
店内を見渡しすと
鼓動の音が高鳴った

窓際の席に一人の女性…
すぐにもえの母親とわかる位に
母親はもえに似ていた

直人は鼓動の音が
聞こえそうな位
ドキドキしながら
その女性に歩みより
少し震え気味に声をかた

『すみません、遅くなりまして。初めまして、空太の父の佐藤です』と
直人は頭を下げると
椅子に腰をおろす

目の前の女性は
本当にもえにそっくりだった
そして直人は
店員さんにコーヒーを頼む
< 348 / 411 >

この作品をシェア

pagetop