となり
『空太…。ごめんな。父さん、空太に何もしてあげられなくて、本当にごめんな』と
直人の言葉に彼は
再び父親に視線をやると
直人は窓にもたれながら
背中を震わせながら泣いていた

『と…父さん?』と
彼は父親に声をかけると
直人は彼に背中を向けながら
ただ何度も゛ごめんな゛と
繰り返し繰り返し呟いていた

昼過ぎになると真悠が
病室に入ってくると
いるはずの直人の姿は
すでになく彼は相変わらずに
ベッドに座り窓の外を見ていた

『空ちゃん、遅くなってごめんね。あのさ、お父さん来なかった?』と
真悠は問いかけながら
持ってきた彼の衣服を
ロッカーにしまう

彼は何も言わなかった―

直人は病室にお昼が運ばれ
午後から仕事だと…
逃げるように病室を出ると
足早にある場所に向かっていた

直人は車を走らせる
着いた場所は…
そう碧のお墓の前だった

『久しぶりになってすまない。碧、元気にしてるか?空太のこと、ごめんな。俺、もうどうしたらいいのか、わからないんだ。碧ならどうする?』と
直人はお墓の前に座り
必死な思いで碧に話しかける
直人は自分がどうすればいいか
彼に何をしてあげればいいか
何が正解なのかさえ
わからなくなっていた
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