となり
『ん~とね、二時間弱はかかるみたいだね』と
梨沙子の言葉に
信吾は再びあくびを漏らし
鞄から駅前で買っておいた
飲み物が取り出すと
ボトルの蓋を開け
信吾はゆっくり口をつけた

『ね~、信吾。どうして瑞木は急にもえから離れたのかな?瑞木の話だと、もえ以外の誰かを好きになったって言ってるみたいだけど。瑞木だって、今のもえのこと知ったら、きっと元に戻るよね…』と
梨沙子の言葉に信吾は
何も言わなかった
そして二人の間に
自然と重い沈黙が流れた

電車に揺られてどのくらいの
時間が流れたのか
隣に座っていた信吾も
いつしか眠りについている
そして梨沙子はずっと
電車の中で心臓の音を
ドキドキさせながら
もえと彼のことを考えていた

そしてこの先に待ち受けている
とてつもない運命が
梨沙子達に刻々と
近づいていることに
梨沙子もそして私にも
知るよしはなかったんだ
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