となり
『信吾…信吾…』と
梨沙子は信吾の体を揺らしながら
声をかけると信吾は
『ん?』と眠たそうに目を開いた

『もう着くよ』と
梨沙子の言葉に
信吾は目を擦ると
いつの間にかに梨沙子に
もたれながら寝ていた
自分の体をお越しながら
電車の窓の外を見つめた

朝はまだ降っていなかった
雨がいつの間にかに降りだしのか
だいぶ強く降っていた

『うわっ、やっぱり雨降りだしたな。傘持ってくりゃ~良かったよ』と
信吾は一言ぼやくと
梨沙子の顔をチラッと見た

梨沙子は信吾のぼやきも
聞こえないくらいに
暗い表情で下を見つめていた

信吾は何も言わずに
梨沙子の手をそっと握ると
梨沙子の耳元で小さく
゛大丈夫だよ゛と囁いた

二人はしばらくすると
目的地の駅に着き電車を降り
改札口を出ると
驚いた顔をしながら
キョロキョロと辺りを見渡した

それは初めてもえが
彼に会いに来た時の気持ちと
同じように二人もまた
昔にタイムスリップした様な
異様な気分だった
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