となり
私は自転車置き場に向かう
今日は始業式で帰宅も早かった
部活がある生徒は
お昼を食べ始めている
下駄箱を出て外に出ると
そこには知己が立っていた
久し振りに間近で見た知己は
また一段と綺麗に見える
そして私は鼓動が高鳴り始めた

知己は私に気付くと
いつもと変わらずに
『もえ~』と手を振り近づく
私は嫌な気持ちを
悟られないように
いつも通りに知己に
『部活は?』と問いかけた

知己はクスっと笑い
『今日は、体調悪くて休み』と
舌を軽くだしながら答えた

久しぶりに知己と
自転車を並べて帰る
この帰り道もとても気まずく
そして知己の顔を
まともに見ることができず
そして会話もなかった

数分が流れ知己は急に口を開く
『もえと帰るの久し振りだね。夏休み大会すごいね。今日の始業式で校長が話してたもんね。銅賞だったっけ?すごいよね。私の所は予選落ちだったし、陸上部ペーペーだらけなのかな』と
知己は相変わらずに
テンションも高く
そしていつもより少し
お喋りな感じだった
私はそんな知己に対して
何も言わずに頷くことが
精一杯な強がりだった
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