となり
『検査をして病気が分かって、一度は家に帰って来たんだけど…』と
真悠は言葉を止めると
『な、治るんですよね?』と
梨沙子は核心に迫る思いで
真悠に問いかけると
真悠は顔を下に向け
一呼吸置いて首を再び振り
『い、今の医療じゃ治すことが…で…きない…ってい…われ…たの』と
真悠は我慢していたのか
今まで溜めていた物が
一気に解放された様に
涙を流しながら言葉を出すと
彼の病気のことを全て話した
そして真悠の話に
二人は体を震わせた

『それは…つまり、助からないってことですか?』と
梨沙子は恐る恐る問いかけると
真悠は何も言わずに頷いた

『空ちゃんのお父さんは、そんなこと聞いたら、もえちゃんはきっと空ちゃんから離れなくなるって言って、このまま二人は別れたままがいいって言って、始めは私も空ちゃんも別れを決意して納得はしたけど、病気のせいで陸上まで諦めて、もえちゃんまで失って、空ちゃんは脱け殻のようになってる。毎日そんな空ちゃん見てて、もうもえちゃんに頼るしかないって思ってたの』と
真悠の言葉に梨沙子は
もうぬるくなっていた
お茶を口に含み口を開いた
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