となり
『な…何なのよ、これ瑞木。何なの、その姿は。ふざけんじゃないわよ。病気のこと全部聞いた。自分の弱ってく姿を見せられないから、別れを告げた?何よそれ。そんなんで、かっこいいとでも思ったわけ?ふざけんじゃないわよ。もえが今どんな思いで毎日過ごしてるのか考えたことある?瑞木のもえに対する想いはそんな薄っぺらいもんだったの?』と
梨沙子は彼の胸ぐらを掴み
大きな声で叫ぶと
彼もまた大きな声で
『離せよ。わかったようなこと言うな。病気のこと聞いて、全部知ったつもりになるんじゃねーよ。俺の気持ちなんて誰にもわかんねーだ。もう治りません…はいっ、走るのは諦めて下さい…。そんなこと言われて、はいっわかりました…なんて言えるわけないだろう。今まで頑張ってきた物を捨てるなんて、簡単なことじゃないだろう…』
『そんなの私にはわからない。だけど、それはもえと別れることとは、別の問題じゃないの?辛い時だからこそ、頼るべきだったんじゃないの?瑞木のお母さんが亡くなる時だって、もえは瑞木のそばにいてくれたでしょ?』
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