となり
『もえが瑞木の誕生日をお祝いして、帰ってきた後に、私に瑞木の応援に行こうって言ってた、大会があったじゃない』

『春の記録会?』

『そう、確か記録会って言ってた。その記録会の前日、選手を決める日に、グランドで倒れて救急車で運ばれたみたいなの』

『あっ、だから、記録会の時に全然連絡が取れなかったんだ』

『うん、それから、色々と検査をして調べたら、瑞木の病気が発見されたって』

『…び…病気?』

『うん、病名は…』と
梨沙子の言葉をつまらせると
母親がゆっくりと口を開いた

『脊髄小脳変性症。しこりの様なものが脊髄を圧迫して、脳機能を破壊させてしまう病気よ』と
母親の言葉に私も梨沙子も
言葉を失った―

『お母さん…治るんだよね?空太は、治るんだよね?』と
私の問いかけに母親は
何も言わずにただ首を横に振る

『梨沙子?』と
私は母親から目を反らし
梨沙子の顔を見ると
梨沙子は下を向いたまま
体は少し小刻みに震えている

『治るんだよね?ね、治るんでしょ?』と
私は繰り返し繰り返し言うと
段々と声が小さくなっていき
自然に涙をこぼしていた
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