となり
彼と別れを告げて―
赤ちゃんを産みと決めて―
泣くのを辞めようと誓い
最近は泣いていなかったせいか
涙は止めどなく溢れ
声が漏れるくらいに
悲しみが溢れた

『もえ…』と
梨沙子は私の背中を擦りながら
声をかけるが私には
梨沙子の声は聞こえなかった

『そ…そう…た』と
泣きながら何度も繰り返し
うわ言のように呼びながら
私は彼がこのままいなくなる
そんな怖い想像をすると
その場から急に立ち上がると
『もえ?』と
梨沙子は驚いた顔をし
『もえ、どうしたの?』と
再び私を呼び止める

『会いに行かなくちゃ。空太に会いに行かなくちゃ』と
私の言葉に母親は
私の体を包み込み
『だめよ。今は我慢してちょうだい』と
強く抱きしめる

私は母親の胸の中でもがきながら
『離して』と
母親を突き離そうとしても
母親の力は強かった

段々と私の鼓動は興奮と共に
頂点に達したのか
今までもがいていた力が
急にふわっと抜けると
意識が真っ白になり
私は母親の腕の中で倒れ込んでいた
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