となり
私はベッドから立ち上がり
カーテンを開けると日差しが
少し眩しく顔に当たり
目を細めながら窓を開けた
今度は少し冷たい風が
顔に当たると急に涙が流れた

『また、泣いてんだな?』と
後ろから声がし私は振り返った

そこには―




―――もえが妊娠?
確かにそう木村は言った
俺はどうすればいい?
俺は何をすればいい?
俺は何がしたいんだ?
…自分への問いかけは尽きない
だけど答えも出せない
何が正しい答え何かもわからない
ただ俺は…


梨沙子と信吾が病室を出て行き
彼は梨沙子の言っていた
もえの゛妊娠゛と言う
二文字が頭から離れなかった

『空ちゃん…』と
真悠の呼び掛けに
今まで感心さえなかった
彼は真悠の方に顔を向けた
彼は言葉にならない様子で
真悠の顔を見つめると
彼より先に真悠が口を開いた

『空ちゃん、いいよ。もえちゃんに会いに行きなよ。いいんだよ、我慢しなくても。空ちゃんがやりたいようにやればいい。私達は何も言わないよ』と
真悠の言葉に彼はまだ
口を開こうとしない
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